2026年度の小規模事業者持続化補助金〈一般型・通常枠〉では、販路開拓のために行うホームページの新規制作やリニューアル、ECサイトの構築などが補助対象になる場合があります。
ただし、「ホームページ制作費の3分の2がそのまま補助される」と考えるのは正確ではありません。 第20回ではウェブサイト関連費について、特に重要なルールがあります。
第20回のホームページ制作で、まず確認したいこと
- ホームページの新規制作・リニューアルは対象になり得る
- 販路開拓につながるホームページであることが前提
- ウェブサイト関連費だけでは申請できない
- ウェブサイト関連費の補助金交付申請額は上限30万円
- ホームページ制作費そのものが30万円まで、という意味ではない
- 交付決定前に制作を発注・契約すると原則対象外
- 補助事業期間内に公開・運用まで行う必要がある
この記事では、第20回でホームページを制作・リニューアルする場合について、対象になる費用、上限30万円の考え方、他の経費との組み合わせ、対象外になるケースまで整理します。
小規模事業者持続化補助金でホームページ制作は対象になる
第20回では、「ウェブサイト関連費」という経費区分が設けられています。
対象となるのは、販路開拓等を行うためのウェブサイト、ECサイト、システム等の開発・構築・更新・改修・運用に必要な経費です。
そのため、新しくホームページを作る場合だけではなく、すでにあるホームページをリニューアルする場合も対象になり得ます。
| 実施内容 | 第20回での考え方 |
|---|---|
| 新規ホームページ制作 | 販路開拓を目的とするものであれば対象になり得る |
| 既存ホームページのリニューアル | 更新・改修として対象になり得る |
| ECサイト制作 | 商品販売など販路開拓のためのサイトは対象になり得る |
| ランディングページ制作 | 販路開拓に使用し、補助事業期間内に公開・運用するものは対象になり得る |
| 顧客管理システム | ウェブサイト関連費として対象になり得る |
| ホームページ掲載用の写真・動画 | 商品・サービス販売のための制作であれば対象になり得る |
| SEO対策 | 効果や作業内容が明確なSEO対策は対象になり得る |
会社案内を作るだけではなく「販路開拓」が必要
持続化補助金は、ホームページを安く作るための制度ではありません。
制度の目的は、自社の経営計画に基づいて新しい顧客を増やしたり、新しい市場へ販売したりする販路開拓を支援することです。
そのため、申請では「ホームページを古く感じるから新しくしたい」だけで終わらせず、
- 現在どのような顧客から売上が発生しているのか
- 今後どの顧客層を増やしたいのか
- 現在のホームページでは何が不足しているのか
- リニューアルによって何を改善するのか
- 問い合わせ・予約・購入などをどう増やすのか
までつなげて考える必要があります。
第20回はウェブサイト関連費だけでは申請できない
ホームページ制作を検討している方が、最も注意したいルールです。
ホームページ制作だけで持続化補助金を申請することはできません。
第20回では、ウェブサイト関連費のみによる申請は認められておらず、ほかの経費と一緒に申請する必要があります。
例えば、ホームページ制作費だけを45万円計上して申請する、という使い方はできません。
ホームページ以外にも、事業計画上必要な設備、広告、チラシ、店舗改装、新商品開発などがある場合に、それらと合わせて申請する形になります。
ホームページと組み合わせやすい経費
| 取組例 | 主な経費区分 |
|---|---|
| 新商品を開発して販売ページを作る | 新商品開発費+ウェブサイト関連費 |
| 店舗を改装して新しい集客用サイトを作る | 委託・外注費+ウェブサイト関連費 |
| 新サービス用設備を導入してホームページで集客する | 機械装置等費+ウェブサイト関連費 |
| ホームページをリニューアルしてネット広告を行う | ウェブサイト関連費+広報費 |
| ECサイトを作り、チラシでも新商品を告知する | ウェブサイト関連費+広報費 |
ただし、補助金を使うためだけに不要な設備や広告を追加するのはおすすめできません。
先に「どのような販路開拓を行うのか」を決め、そのためにホームページ以外にも必要な取組がある場合に組み合わせます。
ホームページ制作の補助上限は30万円
第20回では、ウェブサイト関連費について補助金交付申請額の上限が30万円と定められています。
ここで間違えやすいのが、「30万円のホームページまで補助対象」という意味ではないことです。
通常の補助率2/3で、ホームページ制作費がすべて補助対象として認められると仮定すると、次のようになります。
| ホームページ制作費 | 2/3で計算した金額 | ウェブサイト関連費として申請できる補助額 |
|---|---|---|
| 30万円 | 20万円 | 20万円 |
| 45万円 | 30万円 | 30万円 |
| 60万円 | 40万円 | 30万円 |
| 90万円 | 60万円 | 30万円 |
つまり、通常の補助率2/3であれば、補助対象となるホームページ制作費が45万円の時点で、ウェブサイト関連費の補助額は30万円に達します。
60万円や100万円のホームページを作れないという意味ではありません。 ただし、ウェブサイト関連費として申請できる補助金額には30万円の上限があります。
通常枠50万円の場合
通常枠の補助上限は50万円ですが、その50万円をすべてホームページ制作費に使うことはできません。
ウェブサイト関連費として申請できる補助額は最大30万円なので、通常枠の上限50万円まで申請するのであれば、残りは事業計画に必要なほかの対象経費で構成することになります。
2025年の記事を見ている方は注意|ホームページの上限ルールが違う
「小規模事業者持続化補助金 ホームページ 制作 2025」などで検索すると、過去回のルールを説明した記事も多く出てきます。
過去の公募では、ウェブサイト関連費について「補助金交付申請額の4分の1・最大50万円」というルールが使われていた回があります。
しかし、2026年度の第20回は、ウェブサイト関連費の補助金交付申請額が上限30万円です。
過去に持続化補助金を利用したことがある方や、2025年以前の記事を参考にしている方は、以前の上限計算をそのまま使わないようにしてください。
ホームページのリニューアルも対象になる?
対象になり得ます。
第20回のウェブサイト関連費は、新規構築だけでなく、更新・改修も対象として定められています。
そのため、現在ホームページを持っている事業者でも、新しい顧客を獲得するためのリニューアルであれば検討できます。
対象になりやすいリニューアルの考え方
例えば、現在のホームページが会社概要や電話番号を掲載しているだけで、新規顧客からほとんど問い合わせが発生していないとします。
そこで、
- サービス別のページを新しく作る
- 施工事例・導入事例を掲載する
- 予約・問い合わせ導線を改善する
- 新商品の販売ページを追加する
- EC機能を導入する
- スマートフォンで見やすい構成へ変更する
- 検索流入を増やすためにページ構成を見直す
などを行い、これまで獲得できていなかった顧客へ販路を広げるのであれば、補助事業との関係を説明しやすくなります。
一方で、単に「デザインが古くなったから変える」「普段のホームページ保守を行う」といった内容だけではなく、販路開拓との関係を具体的に説明する必要があります。
ECサイトやネットショップの制作も対象になる
商品販売のためのECサイトも、ウェブサイト関連費の対象になり得ます。
例えば、これまで店舗販売だけだった事業者がECサイトを開設し、商圏外の顧客にも商品を販売する取組は、販路開拓との関係が分かりやすい例です。
申請書では、
「ECサイトを作る」
だけではなく、
現在どこで販売しているのか → どの顧客を新たに獲得したいのか → ECサイトでどのように販売するのか → 売上・売上総利益をどの程度増やすのか
まで一つの計画として整理します。
SEO対策・写真・動画もウェブサイト関連費になる場合がある
ホームページ本体の制作費だけがウェブサイト関連費ではありません。
第20回では、次のような費用も対象になり得ます。
- 効果や作業内容が明確なSEO対策
- 商品販売ページに掲載する写真の制作
- 商品・サービスを販売するための画像制作
- 商品・サービスを紹介する動画制作
- 顧客管理システムの構築
- 販路開拓に使用する特定業務用ソフトウェア
SEOコンサルティングだけなら注意
公募要領では、効果や作業内容が明確なウェブサイトのSEO対策は対象例として示されています。
一方で、ウェブサイトやシステムに関連するコンサルティング・アドバイス費用は対象外です。
「SEO」という名称だけで判断せず、実際に何を依頼し、どのような成果物・作業があるのかを確認する必要があります。
Google広告・SNS広告はホームページ制作費とは別
第20回では、Google広告、Yahoo!広告、SNS広告などのインターネット広告は、「広報費」に区分されます。
| 内容 | 主な経費区分 |
|---|---|
| ホームページ制作 | ウェブサイト関連費 |
| ECサイト制作 | ウェブサイト関連費 |
| HP掲載用の商品写真・動画制作 | ウェブサイト関連費 |
| SEO対策 | ウェブサイト関連費 |
| Google・Yahoo!等のネット広告 | 広報費 |
| SNS広告 | 広報費 |
| SNS運用代行 | 広報費 |
| チラシ・看板 | 広報費 |
広報費にも、補助金交付申請額30万円の上限があり、広報費だけで申請することはできません。
第20回では、ホームページとネット広告を同時に実施する場合、同じ「Web関係の費用」であっても経費区分が分かれる点に注意してください。
ホームページ制作で対象外になりやすいケース
ホームページだけで申請する
ウェブサイト関連費だけによる申請はできません。
ホームページ以外に必要な販路開拓の取組があるかを確認します。
交付決定前に制作会社へ発注する
採択と交付決定は別です。
原則として、補助金の対象となるホームページ制作の発注・契約・支払いは交付決定後に行います。
「採択されたので制作会社と契約した」という順番では、交付決定前の契約となる可能性があります。
補助事業期間内にホームページを公開しない
制作会社への支払いだけ終わっていても十分ではありません。
第20回では、ホームページを制作した場合、補助事業期間内に公開し、実際に販路開拓の取組を行う必要があります。
制作途中のまま事業期間が終わった場合や、完成していても公開していない場合は対象外になる可能性があります。
既存ソフトの更新料だけを申請する
すでに導入しているソフトウェアの単なる更新料は、対象外経費として示されています。
新しいシステムの導入や販路開拓のための改修と、通常の維持・更新は分けて考えます。
パソコンも一緒に買う
第20回では、パソコン、タブレット、モニター、一般的なプリンター、PC周辺機器などは対象外です。
「ホームページ制作に必要だから」という理由で、制作に使用するパソコンまで持続化補助金の対象になるわけではありません。
ホームページ制作費が50万円を超える場合は相見積もりにも注意
第20回では、原則として1件の発注総額が50万円(税込)を超える場合、2者以上から見積もりを取得する必要があります。
例えばホームページ制作会社への発注総額が60万円の場合は、この相見積もりのルールを確認します。
単に「いつもお願いしている会社だから」「デザインが気に入っているから」という理由だけで、必要な手続きを省略しないようにします。
50万円以上のホームページは処分制限にも注意
ウェブサイトやシステムを50万円(税抜)以上の費用で制作・更新した場合、処分制限財産に該当することがあります。
補助事業が終わった後も一定期間、無断で譲渡・廃棄などをできない場合があります。
一方、補助事業の目的を継続するために必要なホームページの改良・機能強化については、通常の財産処分とは別の扱いが示されています。
ホームページ制作で採択を目指すなら「サイトの機能説明」だけを書かない
申請書でありがちなのが、ホームページ制作会社からもらった見積書や提案書をもとに、
WordPressで制作する。
スマートフォン対応にする。
お問い合わせフォームを設置する。
SEO対策を行う。
と機能だけを説明してしまうケースです。
これだけでは、「なぜそのホームページが販路開拓に必要なのか」が分かりません。
例えば、
申請計画を組み立てる考え方
現在は紹介による受注が中心で、商圏外からの新規問い合わせが少ない。
そこで施工事例・料金・対応エリア・顧客事例を掲載したホームページへリニューアルし、検索からサービスを探している新規顧客を獲得する。
さらに問い合わせフォームを改善し、月○件の新規問い合わせ、年間○件の受注増加を目指す。
というように、現在の課題 → ホームページで行うこと → 新しい顧客 → 売上・売上総利益までつなげます。
審査する側が知りたいのは、WordPressの機能そのものではなく、その投資によって事業がどう変わるのかです。
第20回の申請スケジュール
| 手続き | 日程 |
|---|---|
| 申請受付開始 | 2026年11月5日 |
| 事業支援計画書〈様式4〉発行依頼締切 | 2026年12月4日 |
| 申請受付締切 | 2026年12月15日 17:00 |
| 採択発表 | 2027年3月頃予定 |
| 補助事業実施期限 | 2028年3月31日 |
ホームページ制作会社を決めるより前に、どのようなサイトを作り、どの顧客を獲得したいのかを整理しておくと申請計画を作りやすくなります。
特に第20回は、申請締切の12月15日より前に、商工会・商工会議所へ事業支援計画書〈様式4〉を12月4日までに発行依頼する必要があります。
ホームページ制作についてよくある質問
ホームページ制作だけで申請できますか?
できません。 第20回ではウェブサイト関連費だけによる申請は認められていません。 事業計画上必要となる他の対象経費と組み合わせる必要があります。
ホームページのリニューアルも対象ですか?
対象になり得ます。 第20回ではウェブサイトの「更新・改修」も対象とされています。 ただし、販路開拓との関係を説明できることが重要です。
ホームページ制作費は30万円までですか?
違います。 30万円はホームページ制作会社へ支払える金額の上限ではなく、ウェブサイト関連費として申請できる補助金額の上限です。
通常の補助率2/3の場合、補助対象となるホームページ制作費45万円で補助額30万円に達します。
ECサイトも対象ですか?
商品販売等による販路開拓のためのECサイトは対象になり得ます。
SEO対策も対象ですか?
効果や作業内容が明確なウェブサイトのSEO対策は、対象例として示されています。 ただし、単なるコンサルティング・アドバイス費用は対象外です。
Google広告やInstagram広告もウェブサイト関連費ですか?
第20回では、インターネット広告やSNS広告は「広報費」に区分されます。 ホームページ制作とは別の経費区分で計上します。
自分でWordPressを使ってホームページを作る場合は?
WordPressを使うかどうかで対象・対象外が決まるわけではありません。 ただし、自分自身がホームページを制作した時間を人件費として補助対象にすることはできません。
外部へ発注する制作費や、補助対象となるサービス・システム等について、それぞれ経費区分と条件を確認します。
先にホームページ制作会社と契約してもいいですか?
原則として契約・発注は交付決定後です。 申請準備のために見積もりを取得することと、制作を正式に発注することは分けて考えてください。
ホームページ制作を検討している方は、先に事業計画を整理する
持続化補助金でホームページを制作する場合、最初から「いくらのホームページなら補助されるか」を考えるより、
- 現在の顧客は誰か
- これから増やしたい顧客は誰か
- 現在のホームページに何が不足しているか
- ホームページで問い合わせ・予約・購入をどう増やすか
- ホームページ以外に必要な販路開拓の取組はあるか
- 投資後に売上・売上総利益をどの程度増やすのか
を先に整理する方が、申請書もホームページの制作内容も決めやすくなります。
新規ホームページ、リニューアル、ECサイト、広告などを検討している場合は、制作内容や見積もりをもとに、持続化補助金でどこまで対象になり得るか整理できます。
■ 参考・出典(一次情報)
※本記事は2026年10月10日時点の公募要領を元に作成しています。最新情報は公式サイトをご確認ください。