外国人労働者を雇用する企業は、一定の条件を満たすことで20万円または25万円の助成金を受け取れる可能性があります。
対象となるのは、人材確保等支援助成金の「外国人労働者就労環境整備助成コース」です。2026年10月1日に制度が改正され、支給額と就労環境整備の要件が変更されました。
ただし、外国人を採用するだけで支給される助成金ではありません。事前に計画を提出し、労務管理体制の整備や書類の多言語化、定期的な面談などを実施したうえで、離職率などの要件を満たす必要があります。
外国人雇用の助成金はいくら?20万円・25万円の違い
2026年10月1日以降に就労環境整備計画を提出する場合、助成額は次のとおりです。
| 助成額 | 必要な取り組み |
|---|---|
| 20万円 | 雇用労務責任者の選任+就業規則・社内マニュアル等の多言語化 |
| 25万円 | 上記2つに加え、一時帰国のための休暇制度を導入・実施 |
助成金は事業主単位(企業単位)で支給されます。外国人労働者1人につき20万円・25万円が支給される仕組みではなく、事業所ごとの支給でもありません。
また、25万円を受給するには、一時帰国休暇制度を設けるだけでなく、原則として制度に基づく休暇の取得実績も必要です。制度を導入しても、外国人労働者の都合で休暇取得者がいなかった場合は、その他の要件を満たせば20万円の支給対象となります。
助成金の対象となる企業と外国人労働者
外国人労働者就労環境整備助成コースは、雇用保険の適用事業主で、対象となる外国人労働者を雇用している企業が利用できる制度です。
対象となる外国人労働者には、主に次の条件があります。
- 外国人雇用状況届出の対象となること
- 事業主と労働契約を結び、直接雇用されていること
- 雇用保険の被保険者であること(短期雇用特例被保険者・日雇労働被保険者を除く)
特別永住者や在留資格が「外交」「公用」の人は対象に含まれません。上記の条件を満たせば、原則として在留資格の種類だけで対象外になるわけではありません。
また、外国人雇用状況届出を適正に行っていることや、所定期間に一定の解雇等を行っていないことなど、事業主側の要件もあります。
20万円を受給するための2つの必須条件
①雇用労務責任者を選任し、面談を実施する
外国人労働者が勤務する事業所ごとに、雇用労務責任者を選任します。人事担当者などが兼任することも可能です。
2026年10月改正後は、選任するだけでなく、次の対応が必要です。
- 担当者の氏名や相談対応について外国人労働者に周知する
- 対象となる外国人労働者全員と、3か月ごとに1回以上の面談を行い、結果を書面に残す
- 労働基準監督署などの相談先を外国人労働者に案内する
- 雇用労務責任者全員が所定の講習を受講する
面談は就労環境整備計画期間だけでなく、その後の離職率算定期間も継続する必要があります。講習は計画期間の末日までに受講しなければなりません。
②就業規則・社内マニュアル等を多言語化する
次の3区分について、それぞれ1種類以上を多言語化し、外国人労働者に周知します。
| 区分 | 対象書類 |
|---|---|
| ① | 就業規則または労働協約 |
| ② | 労働条件通知書または雇用契約書 |
| ③ | 社内マニュアル |
多言語化には、外国人労働者が使用する言語のほか、相手が理解しやすい「やさしい日本語」も含まれます。
外国人労働者が複数いる場合、制度上はいずれか1人について多言語化を実施することでも要件を満たせます。ただし、職場定着という制度の目的から、他の外国人労働者にも理解できる形で整備することが望まれます。
25万円を受給するための一時帰国休暇制度
25万円の助成金を受けるには、20万円の必須措置に加えて、一時帰国のための休暇制度を新たに整備・実施する必要があります。
主な条件は次のとおりです。
- 就業規則または労働協約を変更して制度を設ける
- 通常の年次有給休暇とは別に、一時帰国のための有給休暇を設ける
- 1年間に1回以上、連続5日以上取得できる制度にする
- 支給申請時点でも制度を継続して運用している
25万円の受給で見落としやすい点
休暇制度を作っただけでは、原則として上乗せ分の5万円は支給されません。計画期間中に外国人労働者が制度に基づいて連続5日以上の有給休暇を実際に取得することが必要です。
離職率15%以下などの定着要件も必要
外国人労働者就労環境整備助成コースでは、取り組みを実施した後の職場定着状況も審査されます。
就労環境整備計画期間の終了後6か月間について、原則として外国人労働者の離職率が15%以下であることが必要です。
ただし、離職率算定期間の初日に外国人労働者が2人以上6人以下の場合は、同期間の離職者数が1人以下であることが基準となります。
さらに、原則として計画提出日から離職率算定期間の末日まで継続して雇用されている外国人労働者が1人以上必要です。一部の離職理由には例外があります。
なお、2026年10月改正では、雇用労務責任者講習の受講証明書による離職率要件の免除規定が廃止されました。講習を受けても離職率要件が免除されるわけではありません。
申請方法と支給までの流れ
外国人労働者就労環境整備助成コースでは、取り組みを始める前に就労環境整備計画を提出し、認定を受ける必要があります。
- 就労環境整備計画の提出
計画期間(3か月以上1年以内)の開始日から6か月前の日~1か月前の日までに提出します。 - 就労環境整備措置の導入・実施
認定された計画に沿って、雇用労務責任者の選任、多言語化、必要に応じて一時帰国休暇制度の整備を行います。 - 離職率の確認
計画期間終了後6か月間の離職率などを確認します。定期面談も継続します。 - 支給申請
離職率算定期間の終了後2か月以内に、必要書類を提出します。
提出先は、本社所在地を管轄する都道府県労働局です。ハローワークに提出できる場合もあります。
※2026年11月8日時点で、10月改正後の制度に対応した電子申請の受付は準備中と案内されています。改正後の申請は、公式様式を使用して労働局へ持参または郵送する必要があります。
2026年10月改正で特に注意したいこと
今回の改正は、2026年10月1日以降に就労環境整備計画を提出する事業主が対象です。2026年4月1日から9月30日までに計画を提出した事業主には、別の版の制度資料が案内されています。
- 外国人の採用人数ではなく、企業単位で20万円・25万円が支給される
- 計画の認定前に、対象措置を自己判断で導入しない
- 多言語化は3区分の書類について確認する
- 面談記録と雇用労務責任者の講習受講記録を残す
- 25万円を目指す場合は、一時帰国休暇の取得実績も確認する
- 計画終了後も離職率と雇用継続の要件を満たす
まとめ|外国人雇用の助成金は最大25万円
2026年10月改正後の外国人労働者就労環境整備助成コースでは、雇用労務責任者の選任と書類の多言語化などを実施することで20万円、一時帰国休暇制度も導入・実施することで25万円の助成金を受けられる可能性があります。
ただし、採用自体への助成ではなく、外国人労働者が働き続けやすい環境を整備する企業への支援制度です。申請を検討する場合は、計画提出前に、自社で実施できる措置と離職率の要件を確認しておきましょう。
参考(2026年11月8日確認):
厚生労働省|外国人労働者就労環境整備助成コース 公式ページ
厚生労働省|外国人労働者就労環境整備助成コース ガイドブック(令和8年10月1日版・PDF)