レジの買い替えや、消費税率の変更に対応するシステム改修を検討している事業者向けに、デジタル化・AI導入補助金2026で「スマートレジ類型」と「POSレジ類型」が新設されます。
中小企業・小規模事業者等では、対象となるソフトウェアの導入やシステム改修について最大350万円、対象となるハードウェアについて最大20万円の補助が設けられています。
ただし、この2類型は通常の補助金とは申請の流れが異なります。
2026年9月15日以降に契約・発注し、導入や改修、支払いまで完了した後に「交付申請兼実績報告」を行う事前着手制度となっています。
事前に購入や改修を行える制度ですが、先に支払えば自動的に補助金を受け取れるわけではありません。対象製品、契約日、見積書、支払方法、保存書類などの条件を満たしているか、契約前に確認する必要があります。
※2026年11月7日時点では、スマートレジ類型・POSレジ類型の公募要領は未公表です。今後、公募要領や申請マニュアルの公開により内容が変更される可能性があります。
スマートレジ類型・POSレジ類型とは
スマートレジ類型・POSレジ類型は、2027年4月に予定されている飲食料品に係る消費税率変更や、将来の消費税率変更への対応を支援するために設けられる申請類型です。
単にレジ端末を購入するための制度ではなく、レジシステムの導入に加えて、レジと連携する受発注システムや請求書管理システムの改修も補助対象になります。
| 申請類型 | 主な支援内容 |
|---|---|
| スマートレジ類型 | スマートレジシステムの導入、スマートレジと連携する受発注システム・請求書管理システムの改修 |
| POSレジ類型 | POSレジシステムの導入・改修、POSレジと連携する受発注システム・請求書管理システムの改修 |
スマートレジ類型
スマートレジとは、タブレットやスマートフォンなどの汎用端末にソフトウェアを導入して利用するレジです。
スマートレジ類型では、対象となるスマートレジシステムの導入に加えて、そのスマートレジとシステム上の連携関係がある受発注システム・請求書管理システムの改修も対象になります。
POSレジ類型
POSレジ類型では、POSレジシステムの新規導入だけでなく、既存POSレジシステムの改修も対象になります。
さらに、POSレジと連携する受発注システムや請求書管理システムの改修も補助対象です。
ポイント
補助上限額と補助率
中小企業・小規模事業者等では、スマートレジ類型・POSレジ類型ともに、ソフトウェアの導入費用やシステム改修費用について1機能なら最大50万円、2機能以上なら最大350万円です。
| 対象経費・機能数 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|
| ソフトウェア導入・システム改修:1機能 | 50万円 | 3/4以内 小規模事業者は4/5以内 |
| ソフトウェア導入・システム改修:2機能以上 | 350万円 | 補助額50万円以下の部分:3/4以内 小規模事業者は4/5以内 50万円超~350万円の部分:2/3以内 |
| 対象ハードウェア | 20万円 | 1/2以内 |
小規模事業者の4/5以内という補助率は、補助額50万円以下の部分に適用されます。最大350万円の全額に4/5が適用されるわけではありません。
「1機能」「2機能以上」はレジの台数では決まらない
補助上限額を左右する「機能数」は、レジ端末の台数やソフトウェアの本数ではありません。
ソフトウェアを導入する場合は、導入するソフトウェアが持つ「会計」「決済」「受発注」の機能から算出します。
複数のソフトウェアを導入する場合でも、同じ機能を重複して数えることはできません。
| 導入・改修内容 | 機能数 |
|---|---|
| 「決済」機能だけを持つソフトウェアを導入 | 1機能 |
| 「決済」のソフトと「決済・受発注」のソフトを導入 | 2機能。「決済」は重複して数えない |
| 受発注システムと請求書管理システムを改修 | 2機能 |
| POSレジシステムだけを改修 | 1機能 |
| POSレジ・受発注・請求書管理システムを改修 | 3機能 |
レジシステムの導入と連携システムの改修を両方行う場合は、それぞれの方法で算出した機能数を合算します。
中堅企業はPOSレジの改修費用が対象
一定の要件を満たす中堅企業も対象になりますが、中小企業・小規模事業者等とは補助内容が異なります。
中堅企業が利用できるのは、POSレジ類型のシステム改修費用です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象経費 | POSレジシステム・受発注システム・請求書管理システムの対象となる改修費用 |
| 補助上限額 | 2,500万円 |
| 補助率 | 1/3以内 |
中堅企業はスマートレジ類型の対象外です。また、POSレジ類型でも、新しいレジシステムやハードウェアの導入費用は対象になりません。
対象となる中堅企業には、飲食料品を取り扱う小売業者であること、常時使用する従業員が2,000人以下であること、みなし大企業に該当しないこと、直近の財務諸表上の自己資本比率が40%未満であることなどの条件があります。
申請できる事業者と申請回数の注意点
中小企業・小規模事業者等は、通常枠等と同様の中小企業・小規模事業者の定義に該当することに加えて、所定の申請要件を満たす必要があります。
また、スマートレジ類型・POSレジ類型では、同一事業者が複数回の交付申請兼実績報告を行うことはできません。
スマートレジ類型とPOSレジ類型の両方に申請することもできません。
過去のレジ関連申請にも注意
スマートレジ類型では、デジタル化・AI導入補助金2026で「スマートレジ」に該当するITツールの導入について交付申請を行っている場合、原則として申請できません。
POSレジ類型では、「スマートレジ」または「POSレジ」に該当するITツールの導入について交付申請を行っている場合、原則として申請できません。
ただし、不採択となった申請は除かれます。
確認するのは「補助金を受け取ったか」だけではありません。レジ関連ITツールについて、すでに交付申請を行っているかどうかも確認してください。
補助対象経費
スマートレジ類型・POSレジ類型では、主にレジシステムの導入費用、ハードウェア導入費用、システム改修費用が補助対象になります。
| 経費区分 | 主な対象内容 |
|---|---|
| ソフトウェア | 各類型の対象として登録されたレジシステムのソフトウェア |
| オプション | 対象ソフトウェアに対して登録されたオプション |
| 役務 | 導入設定、保守サポート等。導入コンサルティング・活用コンサルティングは対象外 |
| ハードウェア | 対象として登録されたPOSレジ、モバイルPOSレジ等 |
| システム改修 | 更新版・修正版プログラム、設計・構築・テスト、プログラム適用、商品マスタ設定変更等 |
レジ導入は登録されたITツールが前提
スマートレジシステムやPOSレジシステムの導入費用を申請する場合は、デジタル化・AI導入補助金2026に登録されたIT導入支援事業者から導入・導入支援を受ける必要があります。
導入するソフトウェアやハードウェアも、交付申請兼実績報告の時点で対象ITツールとして登録されていることが必要です。
ハードウェアだけの申請はできない
スマートレジ類型・POSレジ類型のいずれも、ハードウェアだけを購入して申請することはできません。
対象となるレジシステムのソフトウェア等とあわせて申請する必要があります。
| 申請類型 | 対象となる主なハードウェア |
|---|---|
| スマートレジ類型 | 登録されたPOSレジ・モバイルPOSレジ。券売機は対象外 |
| POSレジ類型 | 登録されたPOSレジ・モバイルPOSレジ・券売機 |
すでに保有しているPCやタブレットをレジ端末として利用し、本体を新たに購入せず、ソフトウェアやレジ付属品を導入する形も示されています。
ただし、PCやタブレットを購入すれば何でも補助対象になる制度ではありません。使用するレジシステムとの関係やITツール登録内容を確認してください。
システム改修は未登録の改修事業者でも対象になり得る
システム改修については、IT導入支援事業者として登録されていない事業者による作業も補助対象になり得ます。
改修費用についてはITツール登録も不要です。
ただし、見積書や改修事業者に関する書類などの提出が必要になります。
また、受発注システムや請求書管理システムを改修する場合は、スマートレジまたはPOSレジとの連携関係をシステム連携図で示す必要があります。
事前着手制度とは
スマートレジ類型・POSレジ類型では、通常の「交付決定を受けてから契約・発注する」補助金とは手続きの順番が異なります。
対象となる契約・発注、導入・改修、支払いを先に行い、その後に「交付申請兼実績報告」を行います。
| 手続き | 予定期間 |
|---|---|
| 対象期間 | 2026年9月15日~2027年3月頃 |
| 申請受付期間 | 2027年1月中旬~2027年3月頃 |
契約日・発注日は2026年9月15日以降である必要があります。
ハードウェアを導入する場合は、納品日も2026年9月15日以降である必要があります。
なお、「2027年3月頃」は確定した申請締切日ではありません。具体的な締切日は、今後公表される公募要領や事業スケジュールで確認してください。
注意ポイント
申請方法
スマートレジ類型・POSレジ類型では、通常枠等の既存類型とは異なり、申請者自身が申請手続きの情報入力等を行う予定です。
申請マイページを開設する際にIT導入支援事業者からの招待は不要ですが、GビズIDプライムは必要です。
- 申請する類型と対象要件を確認する
- 導入するITツール・改修内容・見積条件を確認する
- 契約・発注を行う
- レジの導入・システム改修を行う
- 対象経費の支払いを完了する
- 契約書、請求書、支払証憑、写真などをそろえる
- 申請受付開始後に申請マイページを開設する
- 交付申請兼実績報告を提出する
申請時にはIT導入支援事業者や改修事業者から必要な情報・書類を受け取るため、契約前から補助金申請を予定していることを共有しておくと手続きを進めやすくなります。
申請に向けて保存しておきたい書類
この制度では、導入や改修を終えた後に申請するため、契約段階から証拠書類を保存しておくことが重要です。
- 契約書・発注書・注文書
- 請求書・請求明細書
- 銀行振込やクレジットカード決済などの支払証憑
- 補助金を受け取る口座情報が確認できる書類
- ソフトウェア名と事業者名が分かる画面キャプチャ
- ハードウェアの納品書
- ハードウェアの設置状態が確認できる写真
- システム改修の見積書
- 改修事業者の選定理由書
- 改修前からシステムを利用していたことが分かる資料
- 受発注・請求書管理システムを改修する場合のシステム連携図
申請に使うと分かっている書類だけではなく、見積もりから契約、納品、改修、支払いまで、今回の導入に関する書類は一式保管しておく方が安全です。
契約・支払い前に確認したい注意点
改修費用が税抜50万円以上なら原則として相見積もりが必要
システム改修では、契約先・発注先1者あたりの見積額の合計によって、見積書の取扱いが変わります。
| 見積額 | 必要な対応 |
|---|---|
| 税抜50万円未満 | 1者の見積書を提出 |
| 税抜50万円以上 | 原則として、同一条件による相見積もりを取得 |
最低価格を提示した事業者以外を選ぶ場合や、システムの性質上、相見積もりが難しい場合は、選定理由書で理由を示す必要があります。
また、1者の見積書だけを取得する場合でも、選定理由書の提出が必要です。
見積書は「改修費用一式」ではなく、作業内容と金額の内訳が分かる形で準備してください。
現金払い・分割払い・リボ払いは対象外
支払方法は、原則として銀行振込またはクレジットカードの1回払いです。
| 支払方法 | 主な条件 |
|---|---|
| 銀行振込 | 申請者が所有する口座から、IT導入支援事業者または改修事業者が所有する口座へ振り込む |
| 口座振替 | 申請者から対象事業者へ支払われたことが確認できる通帳等の書類が必要 |
| クレジットカード:法人 | 法人名義の口座から決済されるカードを使用し、1回払いで支払う |
| クレジットカード:個人事業主 | 個人事業主本人名義のカードを使用し、1回払いで支払う |
金融機関の窓口やATMを利用する場合でも、現金払いは認められません。クレジットカードの分割払いやリボ払いも対象外です。支払い後にやり直せない可能性があるため、契約前に支払方法まで確認してください。
スマートレジ・POSレジの導入は契約前の確認が重要
デジタル化・AI導入補助金2026のスマートレジ類型・POSレジ類型では、中小企業・小規模事業者等のレジシステム導入やシステム改修に対して、最大350万円の補助が設けられています。
一方で、対象ITツールの登録、既存システムとの連携、過去の交付申請状況、契約日、見積書、支払方法、証拠書類など、契約前に確認すべき条件が多い制度です。
特に事前着手制度では、申請前に導入・改修と支払いまで終えるため、購入後ではなく契約・発注前に補助対象となる条件を確認することが重要です。
ココテラス株式会社では、デジタル化・AI導入補助金を活用したIT導入に関するご相談を受け付けています。現在利用しているレジやシステム、導入・改修を検討している内容、契約・支払いの状況などを整理したうえでご相談ください。
参考:デジタル化・AI導入補助金2026事務局「スマートレジ類型・POSレジ類型の新設について」/中小企業庁「変化の時代に対応できるスマートレジの導入を支援します」