デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠では、第6回公募から、中小機構の「IT経営サポートセンター」の利用が加点対象に追加されました。
通常枠では、従来から加点対象となっている「IT戦略ナビwith」と「IT経営サポートセンター」のいずれか一方について所定の条件を満たすことで、この加点項目の対象となります。
加点対応の手軽さを優先するならIT戦略ナビwith、自社に合うITツールや導入方法について専門家に相談したいならIT経営サポートセンターという使い分けが分かりやすいでしょう。
ただし、IT経営サポートセンターは、単に予約や利用申込を行えば加点される制度ではありません。利用申込日、申込時の企業情報、実際に相談を利用した日まで条件が決められています。
この記事では、IT経営サポートセンターのサービス内容に加えて、デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠で加点を受けるための条件、IT戦略ナビwithとの違い、予約から相談までの流れ、申請前に確認しておきたい注意点を整理します。
IT経営サポートセンターとは
IT経営サポートセンターは、中小企業・小規模事業者のIT活用、DX、AI活用、情報セキュリティなどの悩みを相談できる、中小機構のオンライン相談窓口です。
相談は無料で1回60分。オンライン形式で何度でも利用できます。ITコーディネータや中小企業診断士など、経営とITの両方に詳しい専門家が相談に対応します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 相談料 | 無料 |
| 相談時間 | 1回60分 |
| 相談方法 | オンライン面談 |
| 利用回数 | 何度でも利用可能 |
| 主な相談内容 | IT活用、DX、AI活用、業務効率化、ITツール選定、情報セキュリティなど |
| 特徴 | 特定のITツールやベンダーに偏らない中立的な立場でアドバイス |
相談する時点で、導入したいシステムや解決策まで決めておく必要はありません。
「IT化しなければならないとは思っているが、何から始めればよいか分からない」という段階から、「販売管理システムと会計システムを連携させたい」といった具体的な課題まで相談できます。
- 紙やExcel中心の業務を改善したいが、何を導入すればよいか分からない
- 販売管理・会計・勤怠など複数のシステムが分断されている
- 複数のITツールを調べたが、自社に必要な機能を判断できない
- 生成AIを使いたいが、どの業務から導入すべきか分からない
- 定型作業を自動化したいが、費用対効果を判断できない
- 自社に必要な情報セキュリティ対策が分からない
IT経営サポートセンターでは、現在の業務や課題をヒアリングしたうえで、ITをどのように活用するかを一緒に整理してもらえます。
必要に応じて、候補となる複数のITツールを提案してもらったり、ITツールを選定するときのポイントについてアドバイスを受けたりすることも可能です。
単に製品を探すための窓口ではなく、「何を解決するために、どのようなITツールが必要なのか」を整理する相談先として利用できます。
通常枠では第6回公募からIT経営サポートセンターが加点対象
デジタル化・AI導入補助金2026では、通常枠の第6回公募から「IT経営サポートセンターの利用」が加点措置に追加されました。
ここで注意したいのは、IT経営サポートセンターそのものを利用できる企業と、デジタル化・AI導入補助金の加点対象となる申請は別に考える必要があることです。
補助金の加点として利用できるのは、デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠です。
ポイント
そのため、加点だけを目的として両方を利用する必要はありません。
一方で、IT戦略ナビwithで自社の経営課題やIT活用の方向性を整理した後、IT経営サポートセンターで専門家に相談するという使い方はできます。
IT経営サポートセンターで加点を受けるための条件
IT経営サポートセンターを利用して通常枠の加点を受ける場合、特に確認したいのは「いつ申し込んだか」「どの企業情報で申し込んだか」「いつ実際に相談したか」の3点です。
| 確認項目 | 加点条件 |
|---|---|
| 対象となる申請 | デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠 |
| 対象公募回 | 第6回公募から加点措置を実施 |
| 利用申込日 | 2026年8月1日以降に利用申込を行っていること |
| 法人の申込情報 | 補助金申請に用いる法人名、住所、法人番号を入力すること |
| 個人事業主の申込情報 | 「企業名」欄に代表者氏名を入力し、補助金申請に用いる住所を入力すること |
| 相談の利用期限 | 交付申請日以前、かつ各公募回の交付申請締切日の前月末日までに利用が確認できること |
条件1|2026年8月1日以降に利用申込をしている
IT経営サポートセンターの加点では、2026年8月1日以降に利用申込を行っていることが条件として明示されています。
したがって、以前IT経営サポートセンターを利用した経験があるというだけでは、今回の加点条件を満たすとは限りません。
過去に利用したことがある事業者も、デジタル化・AI導入補助金2026の加点を希望する場合は、対象となる利用申込の日付を確認してください。
条件2|補助金申請に用いる企業情報で申し込む
IT経営サポートセンターは、申込時に入力する企業情報にも注意が必要です。
法人の場合は、デジタル化・AI導入補助金2026の申請に使用する法人名、住所、法人番号を入力します。
個人事業主の場合は、予約フォームの「企業名」欄に代表者氏名を入力し、補助金申請に用いる住所を入力します。法人番号は法人の場合のみ必要です。
個人事業主が屋号だけを入力するなど、補助金申請時の情報とIT経営サポートセンターの申込情報が対応しない状態は避けてください。加点を希望する場合は、申込前に補助金申請で使用する情報と照合しておきましょう。
条件3|予約だけではなく、期限までに実際に相談を利用する
IT経営サポートセンターの加点で特に間違えやすいのが、申込日と実際の相談日の扱いです。
2026年8月1日以降に利用申込をしただけでは、加点条件を満たしません。
実際の利用について、次の2つを満たす必要があります。
- IT経営サポートセンターの利用が交付申請日以前であること
- 申請する公募回の交付申請締切日の前月末日までに利用が確認できること
つまり、「補助金の交付申請締切日までに相談すればよい」という条件ではありません。
例えば、交付申請締切日が12月中の公募回であれば、原則として11月末までにIT経営サポートセンターを利用する必要があります。
さらに、11月末を待たずに交付申請を行う場合は、実際に交付申請を行う前にIT経営サポートセンターの相談を利用しておく必要があります。
注意ポイント
第7回公募で利用するなら2026年11月30日までの相談が必要
2026年11月7日時点で公表されている通常枠の第7回公募は、2026年12月1日(火)17時が交付申請締切です。
IT経営サポートセンターの加点では「各公募回における交付申請締切日の前月末日まで」の利用が必要です。
そのため、第7回公募でIT経営サポートセンターの加点を利用する場合は、2026年11月30日までに相談を利用する必要があります。
ただし、例えば11月20日に交付申請を行うのであれば、11月30日まで待てるわけではありません。交付申請日以前という条件もあるため、11月20日の交付申請までに相談を利用しておく必要があります。
IT経営サポートセンターの加点を利用する場合は、「前月末までに相談すれば大丈夫」とだけ覚えないようにしてください。交付申請を先に行う場合は、その交付申請までに相談を終えておく必要があります。
IT戦略ナビwithとの違い|どちらを選べばよい?
デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠では、「IT戦略ナビwith」も加点対象です。
IT戦略ナビwithはWeb上の質問に回答して自社の経営課題やIT活用の方向性を整理するツールで、IT経営サポートセンターは専門家との対話によって個別の課題を整理するサービスです。
| 比較項目 | IT戦略ナビwith | IT経営サポートセンター |
|---|---|---|
| 利用方法 | Web上で自分で回答 | 専門家とのオンライン面談 |
| 予約 | 不要 | 必要 |
| 時間の目安 | 約5分で取り組める | 1回60分 |
| 主な内容 | 経営課題やIT活用の方向性をIT戦略マップとして整理 | 経営課題、IT活用、ツール選定、導入方法などを個別に相談 |
| 加点時の主な対応 | 申請に用いるGビズIDプライムを入力し、IT戦略マップを作成して申請時に添付 | 指定された企業情報で申し込み、所定の期限までに実際に相談を利用 |
| 向いている方 | 自分で課題を整理し、短時間で加点対応を進めたい方 | ITツールの選定や導入方法まで専門家に相談したい方 |
加点対応の手軽さを優先するならIT戦略ナビwith
導入したいITツールや解決したい課題がある程度決まっており、加点のための準備を自分で進められる場合は、IT戦略ナビwithが取り組みやすい方法です。
専門家との面談日時を調整する必要がなく、自分の都合に合わせてWeb上で実施できます。
ただし、IT戦略ナビwithも、サイトを閲覧したり質問に答えたりするだけで加点されるわけではありません。
加点を受ける場合は、デジタル化・AI導入補助金2026の申請に使用するGビズIDプライムを入力し、「IT戦略マップ」を作成して、PDF保存したものを補助金申請時に添付する必要があります。
IT戦略ナビwithには「同業他社比較マップ」と「IT戦略マップ」があります。補助金の加点で必要なのはIT戦略マップです。同業他社比較マップだけを作成して終わらないようにしてください。
IT戦略ナビwithの入力方法や、経営課題・業務上の問題点を選ぶ際の考え方は、次の記事で詳しく解説しています。
ITツール選びに悩んでいるならIT経営サポートセンター
一方、「IT戦略マップは作れたものの、具体的に何を導入すればよいのか分からない」という場合は、IT経営サポートセンターを利用するメリットがあります。
- 補助金を使いたいが、何を導入すべきか決められない
- 複数のITツールを比較しているが、選定基準が分からない
- 販売管理や会計など既存システムの連携に悩んでいる
- AIを導入したいが、具体的な活用業務を決められない
- IT導入による費用対効果を整理したい
IT経営サポートセンターでは、現在の業務の進め方や困っていることを説明しながら、必要な機能、IT導入の方向性、ツールを選ぶ際の確認点などについて相談できます。
公式Q&Aでも、ヒアリング後に候補となりそうな複数のITツールを提案し、ITツール選定のポイントを伝えることが可能とされています。
そのため、加点を取ることだけを目的に利用するのではなく、補助金を使って不要なシステムを導入しないための相談機会として利用すると、IT経営サポートセンターのメリットを生かしやすいでしょう。
IT戦略ナビwithとサポートセンターを両方利用しても二重加点にはならない
「IT戦略ナビwithで加点を取り、さらにIT経営サポートセンターでも加点を取れば有利になるのでは」と考える方もいるかもしれません。
しかし、通常枠ではIT戦略ナビwithとIT経営サポートセンターの双方を利用した場合も、この項目についてはいずれか一方に対して加点されます。
加点数を増やすためだけに双方を利用する意味はありません。
ただし、サービスとしては組み合わせて利用できます。
- IT戦略ナビwithで自社の経営課題やIT活用の方向性を整理する
- 作成したIT戦略マップを見ながら導入候補を検討する
- 判断できない部分をIT経営サポートセンターの専門家に相談する
この順番で利用すると、「何となくITツールを探す」のではなく、自社の課題から導入候補を絞り込みやすくなります。
IT経営サポートセンターでは補助金申請の相談はできない
IT経営サポートセンターがデジタル化・AI導入補助金の加点対象になったことで、補助金の申請相談窓口と勘違いしやすくなっています。
IT経営サポートセンターは、デジタル化・AI導入補助金の申請書を作成したり、申請方法を指導したりする窓口ではありません。
| 相談できる内容の例 | 対象外となる内容の例 |
|---|---|
| 自社の経営課題の整理 | 補助金申請書の記載方法 |
| 経営課題に対するIT活用方法 | 補助金の申請支援 |
| ITツールを選ぶ際のポイント | 特定製品・サービスの評価や推奨 |
| 候補となる複数のITツールの提案 | ITベンダーの斡旋 |
| AI活用や導入の進め方 | 特定ソフトウェアの操作方法の指導 |
| 情報セキュリティ対策の方向性 | PC・ネットワークのトラブル解決 |
例えば、「顧客管理を効率化するために、どのようなIT活用が考えられるか」という相談はできます。
一方、「補助金の申請画面のこの欄には何を書けばよいか」「この申請内容なら採択されるか」といった補助金申請そのものの相談には対応していません。
補助金の申請手続きに関する質問と、IT導入・業務改善についての相談は分けて考えましょう。
IT経営サポートセンターの予約から相談までの流れ
IT経営サポートセンターは事前予約制です。公式サイトの予約カレンダーから相談日時を選び、予約フォームに必要事項を入力します。
- 予約カレンダーから相談したい日時を選ぶ
- 予約フォームに企業情報や相談内容を入力する
- 予約受付メールを受け取る
- 相談日時になったら、受付メールに記載されたURLからオンライン面談に参加する
オンライン面談にはZoomが使用されます。Zoomアプリをインストールしていなくても、ブラウザから参加できます。
デジタル化・AI導入補助金2026の加点を希望する場合は、予約する前に相談予定日が対象公募回の利用期限に間に合っているかを確認してください。
また、法人名、住所、法人番号、個人事業主の場合の代表者氏名など、加点判定に関係する申込情報は、補助金申請に使用する情報と照合してから入力する方が安全です。
相談前に何を準備すればいい?
IT経営サポートセンターでは、相談前に必ず準備しなければならない資料はありません。
ただし、予約フォームへ悩んでいる内容を具体的に記載しておくと、相談を進めやすくなります。
補助金を利用したIT導入まで検討しているのであれば、次の内容を簡単に整理しておくとよいでしょう。
- 現在使っている会計・販売・勤怠・顧客管理などのITツール
- 紙、Excel、メールなどで行っている業務
- 特に時間がかかっている作業
- 二重入力や転記が発生している箇所
- ミスや対応漏れが発生しやすい業務
- 導入を検討しているITツールがあれば、その候補
- IT導入によって改善したいこと
例えば、「DXについて相談したい」だけではなく、次のように現在の業務と悩みを整理しておくと、専門家も状況を把握しやすくなります。
見積書はExcel、受注情報は紙、請求書は会計ソフトで作成しており、同じ顧客情報を何度も入力しています。販売管理システムを検討していますが、会計ソフトとの連携を重視すべきか、受注管理を優先すべきか判断できていません。
一方、まだ課題そのものを整理できていない場合は、無理に解決策を決めてから相談する必要はありません。
「紙とExcelが多く非効率だと感じるが、どの業務から改善すべきか分からない」といった状態から相談できます。
可能であれば経営者・経営層も参加する
IT経営サポートセンターは、経営者以外の担当者でも利用できます。
ただし、経営的な観点から課題解決のアドバイスを行うため、可能であれば経営層の参加が案内されています。
ITツールの導入では、機能だけでなく、導入費用、業務フロー、社内運用、費用対効果なども判断する必要があります。導入について意思決定できる人が参加した方が、相談結果を実際のIT導入につなげやすくなります。
IT経営サポートセンターの加点でよくある勘違い
予約しただけで加点される?
予約・利用申込だけでは加点条件を満たしません。所定の期限までに実際の利用が確認できる必要があります。
補助金の締切日までに相談すればいい?
補助金の交付申請締切日までではありません。
交付申請日以前、かつ対象公募回の交付申請締切日の前月末日までという条件があります。
IT戦略ナビwithと両方やれば2つ分加点される?
二重加点にはなりません。双方を利用した場合も、この項目についてはいずれか一方に対して加点されます。
専門家が一番おすすめの製品を選んでくれる?
候補となる複数のITツールを提案してもらうことはできますが、特定製品・サービスの評価や推奨、ITベンダーの斡旋を行うサービスではありません。
補助金申請書の書き方も相談できる?
できません。補助金申請書の記載方法や申請支援は対象外です。
IT経営サポートセンターは、経営課題に対してどのようなIT活用が考えられるのかを相談するための窓口です。
IT経営サポートセンターとIT戦略ナビwithは目的で使い分けよう
デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠で、この加点項目にできるだけ手軽に対応したい場合は、Web上で実施できるIT戦略ナビwithが利用しやすいでしょう。
一方、「補助金を使いたいが導入するITツールを決められない」「AIやDXに取り組みたいが、何から始めればよいか分からない」という場合は、IT経営サポートセンターを利用するメリットがあります。
加点だけを目的にするならIT戦略ナビwithの方が手軽ですが、ITツール選びや業務改善の方向性そのものに悩んでいるなら、専門家と60分相談できるIT経営サポートセンターを活用する価値があります。
IT経営サポートセンターを加点に利用する場合は、相談内容だけでなく、2026年8月1日以降の利用申込、補助金申請と一致する申込情報、交付申請日以前かつ締切前月末までの実利用という条件を忘れずに確認してください。
なお、加点条件を満たしたこと自体が、デジタル化・AI導入補助金2026の採択や交付決定を保証するものではありません。補助金を使ってどの業務を改善し、どのように生産性向上につなげるのかという申請内容全体もあわせて検討する必要があります。
参考:デジタル化・AI導入補助金2026事務局「申請を行う前に必要な手続き」
https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/measures/
参考:デジタル化・AI導入補助金2026事務局「事業スケジュール」
https://it-shien.smrj.go.jp/schedule/
参考:中小機構「IT経営サポートセンター」
https://it-sodan.smrj.go.jp/
参考:中小機構「IT経営サポートセンター よくあるご相談とQ&A」
https://it-sodan.smrj.go.jp/qa.html
参考:中小機構「IT戦略ナビwithの使い方」
https://digiwith.smrj.go.jp/it-map/howto/
参考:中小機構「デジタル化・AI導入補助金の加点を受けるためには何が必要ですか?」(2026年2月27日)
https://digiwith.smrj.go.jp/faq/2026/14.html
※本記事は2026年11月7日時点の公式情報をもとに作成しています。申請時は、対象となる公募回の最新の公募要領・公式案内をご確認ください。