この補助金は、内容以前に「要件を満たしているか」で足切りされる。計画が良くても、次のどれかに引っかかると失格になる。
- 提出書類が1つでも欠けている
- 対象者の条件、対象事業の条件、補助率・上限、対象経費の条件に合っていない
- 実行できる体制が見えない(人手、段取り、実施スケジュールが薄い)
- 事業者本人の取組に見えない(丸投げっぽい、他社のテンプレっぽい)
審査員は「ちゃんと制度を理解しているか」「最後までやり切れそうか」を最初に見ている。ここを落とすと計画審査に進まない。
計画審査で点が入るのはこの4つだけ
計画審査は、要するに「現状→方針→やること→お金」が一本の線でつながっているかどうかで決まる。評価項目は多く見えるが、実態は次の4つに集約される。
1)現状分析がちゃんとしているか
ここはフワッと書くと一気に弱くなる。強い計画は、売上が伸びない理由を“自分の言葉”で説明できている。
- 商圏・客層・単価・客数がざっくりでも把握できている
- 自社の強みだけでなく弱みも書けている(ここが書けると一気に人間味が出る)
- 競合と比べて何が足りないかが言える
「SNSを強化したい」「ホームページを作りたい」から入ると薄く見える。まず、今の売り方のどこに詰まりがあるかを言語化するのが先である。
2)経営方針・目標が“市場とニーズ”に刺さっているか
ここで落ちる人が多い。目標が自分都合になっていると点が伸びない。
- どの客に、何を、どうやって届けるかが明確
- 目標が数字で置けている(客数、単価、リピート率など)
- その目標が、強み・弱みの分析と矛盾していない
「売上を上げたい」だけだと評価されない。誰のどんな不満を解消するのか、どんな価値を足すのかを言い切った方が強い。
3)補助事業が“必要で有効”になっているか
ここが本丸である。審査員が見たいのは、「それ、補助金でやる意味ある?」の答えである。
強い計画の特徴は次の通り。
- やる内容が具体的で、実現可能性が高い(工程・担当・時期が見える)
- 経営計画の目標達成に直結している(販路開拓につながる説明ができる)
- 自社の技術・ノウハウ・アイデアが入っている(他社でも同じ、になっていない)
- 新しい価値がある(商品、サービス、提供方法のどれかに“変化”がある)
- デジタル活用が「手段」として入っている(目的がデジタルになると弱い)
よくある失点パターンはこれ。
- ただの設備更新に見える
- とりあえず広告を出すだけに見える
- ホームページを作ることが目的に見える
- 外注任せで、事業者本人の工夫が見えない
「やること」と「売上につながる理由」をセットで書けるかが勝負である。
4)見積・積算が透明で、必要な金額だけになっているか
採択される計画は、金額の出し方がきれいである。逆にここが雑だと、全体が信用されない。
- 何にいくら必要かが、内訳で説明できる
- 計画と関係ない経費が混ざっていない
- 相場から極端にズレていない
- “なぜそれが必要か”が説明できる
よくある事故は「一式」「まとめて○○円」みたいな見積である。審査の時点で“中身が見えない”と減点されやすい。
過去に採択されている事業者は、別の目でも見られる
過去に同系の補助金で実施経験がある場合は、次の点も見られる。
- 前回の結果を踏まえて改善できているか
- 前回と同じことを繰り返していないか
- 今回は明確に別の取組と言えるか
さらに、過去の実施回数に応じて減点調整が入るので、「前回と違う理由」「今回で伸ばすポイント」をはっきり書いた方が良い。
加点は“欲張ると0点”になるので注意
加点は便利だが、選び方を間違えると加点対象から外れる。よくあるミスは「いっぱい選んでおけば得」と勘違いすること。
- 重点政策加点から1つ
- 政策加点から1つ
- 合計2つまで
2つを超えた瞬間、加点そのものが無効になる。ここは本当に勿体ない落とし穴である。
加点で狙いやすいもの(現実的な判断)
加点は「やれるなら取る」で良いが、無理して取ると後で詰むタイプがある。
- 賃金引上げ系:条件未達だと、交付決定後でも補助金が出ないリスクがある
- 事業環境変化:物価高等の影響を書くだけでなく、内容が具体的でないと弱い
- 経営力向上計画やBCP系:認定済みでないと対象外になるので、申請中は基本ダメ
加点は“審査の追い風”ではあるが、“要件未達で不交付”の地雷もある。安全に取りに行くなら、いま手元で証明できるものだけに絞った方が良い。
これを押さえると通りやすくなる(書き方のコツ)
最後に、審査員の頭の中に沿った並べ方を書く。
- まず課題を書く(売れない理由、詰まり)
- 次に狙う客と市場を書く(誰に売るか)
- 次に打ち手を書く(何を変えるか)
- 最後に数字を書く(どう増えるか、どの指標が動くか)
この順番にすると、自然と「必要性」「有効性」「実現可能性」「積算の妥当性」が揃う。逆に、施策から書き始めると薄く見える。